死んでもあなたに愛されたい



必死に走り、なんとか捕まえた。


ぶっさいくな形相だったら一刻も早く忘れてね。

お願いね。ぜったいだよ。
かわいいところだけ覚えてて。




「な……んで……」


「お弁当」


「え……あ、そういや……」


「はい、これ」




よっしゃ! 作戦成功!

無事に接触ゼロ更新を回避できた!


本番はここからだ。


自然に、なにげなく、ランチに誘って。

一緒に昼食を摂りながら、訊きたいことをぜんぶ訊く!




「魁運、お弁当一緒に」


「――佐藤さん!」




とっさに魁運は、あたしの手からお弁当をぶんどった。


眼力を強めながら、ぶっきらぼうに顔を背けられる。



あああ……。あたしの作戦が……。

いけそうな気がしてたんだけどなあ。



小さくなっていくいとしの背中をいつまでも眺めていたら、袖をくいっと後方に引き寄せられた。




「佐藤さん! だめだよ。忠告したよね?」


「影野さん……」


「彼には関わっちゃいけないんだって」




いつも昼休みを一緒に過ごしてくれる影野さんたち、女の子3人は、深刻そうにあたしに言い聞かせる。


声をかけてきたのがあと数秒、いや1分、できれば3分遅ければ……!

心配してくれるのはありがたいんだけど……だけど……!




「彼と関わると、痛い目に遭うよ?」


「どうして?」


「どうしてって……佐藤さん、知らないの?」




知らないから困ってるんだよ。


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