死んでもあなたに愛されたい
路地の入口に停めてある大型バイクのところに戻ってきても、魁運とマユちゃん先輩は言い合いを続けてる。
口論の延長線上で、今回巻き込まれたワケや情報、神亀のことを話していた。
その隙に、あたしは忍び足で路地の奥へ。
「ゲホッ。……誰、だ………って、」
「どうも」
「さっきの女かよ……」
浅黒い男は傷だらけの体に耐えながらも、ふつふつと私怨に燃えていた。
懲りない男だ。
彼はふと、何かに気づき、あたしを見ておどろいた。
「お、おまえ……この間の……!!」
「なに?」
「わ、忘れたとは言わせねぇぞ!」
忘れましたが何か?
前に会ったことがあるみたい。
あったっけ、そんなこと。人ちがいでは?
しかたなく記憶を片っ端から探してみる。
あー……。
なんか、絡まれたような気もしなくもない……。
まあ、いいや。
どうせ興味ないし。
「てめぇも、死神も、覚えてろよ……! この借りはぜってぇ返……ゴホッ! ゴホッ!」
「クソダサ台詞も決まらないなんてかわいそーに」
「うるせえ!!!」
よく吠える犬だこと。
魁運にこてんぱんにやられたのに、まだ威張ってられるんだ。