死んでもあなたに愛されたい
『永鳥魁運に近づくと呪われる』
『あいつはふつうじゃない』
『命が惜しければ、彼に関わるな』
ひそひそ、ひそひそ、と。
クラスメイトが遠巻きに触れ回るうわさは、知らぬ間に学校外にも広がっていた。
友だちはいなくなり、近所の人は煙たがる。
『魁運は何もわるくない。堂々としていなさい』
親父だけは、この呪いごと、俺を愛してくれた。
本当の父親ではないと知っても、俺にとっての家族は、親父だけだ。
それはぜったい変わらない。
だから、今も。
俺は俺らしく戦う……!
「呪われてても、俺は俺だ!」
男たちはわかりやすく顔つきを渋らせた。
呪いが怖いのか?
だったらさっさとしっぽまいて逃げることだ。
俺は逃げない。
堂々と立ち向かう。
「では、不良グループに入っているというのも?」
「……よく調べてんな。一介の男子高生のことを、どこまで嗅ぎ回ったんだか」
きっかけは、親父の言葉のとおり堂々と振る舞うようになったこと。
それ以来、ガラのわるい連中によく絡まれるようになった。
うわさを聞きつけ、興味を持ったのだろう。
たいてい嘲るような挑発から入り、暴力行為に発展するまでがテンプレ。
初めは逃げていた。
だんだんやり返すようになって。
中学2年になるころには、完全勝利が当たり前になっていた。