死んでもあなたに愛されたい
あの誘いを受けたとき、なかなか異質な状況だった。
が、今のこの状況も匹敵するくらいまともじゃないよな……。
昨日相手してやったような、あんぽんたんなヤツなら、呪いだとか死神だとかの疑惑だけで手ぇ出してくるか、逃げるかしてくんのに。
今は楽に片付けられねぇ。
少なくとも、この男たちは、バカではないみてぇだ。
「呪われているうえに、族の者。プラス、神社、か……」
「スリーコンボきまっちゃいましたね」
「最悪だ」
俺や家のことはバカにしてるみてぇだな……!?
最悪なのはそっちだ!!
「呪われてるから、不良だから、なんだってんだ! 無神経に土足で踏み荒らしてるてめぇらに、とやかく言われる筋合いはねぇよ! さっさと出てけ!」
「威勢がいいな、坊主。だが、わたしに盾突いていいのか?」
「何が言いたい」
「……これは明かしたくなかったが、致し方ない」
最後の切り札を出すように、年配の男は片方の口角を上げた。
俺以上に目つきがわるいところ以外は、やはり、どことなくひとみに似ている。
水墨画で描かれたようなストレートの髪の毛が、いやに妖しくなびいた。