死んでもあなたに愛されたい
髪型
ドン!
と、机をふたつくっつけて。
ドドン!
と、あたしが作ったお弁当を広げて。
「ひとみ」
いとしい人に名前を呼ばれたなら。
ドンドコドン!
と、心臓は早打ち大会を始めることでしょう。
そう! まさに今! そうなのです!
「魁運、どうしたの?」
「何してるんだ」
「何って、お昼ごはんだよ。早く食べないと昼休み終わっちゃうよ?」
「そうじゃなくて。なんで俺と一緒にいるんだ」
1の4の教室の右角。
廊下側の一番うしろの席ふたつ。
そのうちのひとつは、魁運の席。
その前の席にちゃっかり座ったあたしは、魁運と向かい合うようにお弁当を囲んだ。
ちゃんとどっか行っちゃわないように、魁運の袖をつかんで。
2学期が始まってもうすぐ1か月が経つ。
やっと念願の、昼休みに魁運とラブラブふたりごはんを叶えるとき!
案の定、好奇の目にさらされているけど、問題ナッシング!
魁運との時間のほうが大重要!
「関わるなって言ったよな?」
「それは死神や呪いだからなんでしょ?」
「知ってんなら、」
「だから、学校での魁運は、単独行動していて。あたしまでクラスで浮かないように、あたしにも境界線を引いて、気遣おうとしてくれたんだよね?」
死神や呪いそのものがワケじゃない。
そうじゃなきゃ、家でも拒絶されるはずだもん。
故意的に避けられていたのは、学校、通学路、その近辺だけ。