死んでもあなたに愛されたい
「……またからかわれても知らねぇぞ」
「また、って……前にもあったの?」
「俺らの入学式の日に、体育館裏で絡まれてたんだよ」
「あったわね、そんなこと。そこをカイが実力行使で助けてくれたのよね。先生にバレて停学食らってたけど」
……仲間に甘すぎて、すぐに手が出ちゃうのは、玉にきず?
ここで「暴力はダメ!」じゃなく「颯爽とぶっ殺したのかっちょええ!」となってしまうあたしも、しょせん、同じ穴のむじな。
この時点で、あたし、ヒロイン失格?
いやいや! ちょっとずれてるだけで、十分、魁運のヒロインにぴったり……だよね!?
あたしも身内……というか、魁運には甘々よ!
マンガではライバルキャラが登場しがちだけど、今のところその予兆はないし、これはあたしが自分でヒロイン力を高めていくっきゃねぇ! 燃えるぜ!
魁運の好感度とかっこよさを研究し尽くし、このままあたしと魁運、ラブラブ一直線に突き進んでいかなくっちゃ!
ライバルは一生出てこなくて大丈夫でーす。
――と、意気込んでいたら、放課後。
神社に、見知った姿が。
くるくるとした髪型だけが見慣れず、その顔をこの目に捉えるまで信じられなかった。
「……あれ? ひぃちゃん?」
「えっ」
「隣のすてきな男性は、どなた?」
「ええ!?」
まさか……!
あらぬ方向から、ライバル出現!?