死んでもあなたに愛されたい
「こいつも知り合いか?」
いきなり魁運が、あたしと距離を詰めてきた。
肩がぴったりと触れている。
ほぼゼロ距離!
耳元に吐息がかかってる!
不意打ちは心臓にわるい。が、もっとちょうだい!
ニヤけそうになりながら、「ううん!!」と大きくかぶりを振った。
それにびっくりするのは、なぜか、つぅちゃんのほう。
「面識なかったの?」
「そうですね、はじめましてです」
「……そう。ひぃちゃん、引きこもりだったし、今の形になったのもつい最近だもんね」
おい、つぅちゃん。
あたしが引きこもりだったのは関係あるか!?
てか、引きこもりになりたくてなったんじゃないよ! ぜんぶ父さんのせいだから!
「ぼくは、白園学園2年、赤羽 純也と申します。現在、つむぎ様の護衛を任じられております。お見知りおきを」
あたしでいう兵吾郎の役どころ、か。
ちょっと前に実家でつぅちゃんと交流したときは、スキンヘッドのお兄さんがその任についていた。
赤羽くんと交代したんだ。どうりで記憶にないわけだ。
2年生……あたしたちのひとつ年上だ。
つむぎのボディーガードという大役を、同世代に後継するとは……。
思いきったことするなぁ……。
若くしてばってきされただけあって、そうとうな手練れに感じる。
物腰やわらかそうに見えて、彼の黒い眼は常にとがっている。隙がない。