死んでもあなたに愛されたい
「で、純也。どうだった?」
「はい。神主の方がすぐに準備を整えてくださるそうです」
「そう」
「親父に何の用だ?」
ぴりり、と魁運の警戒心が復活する。
つぅちゃんは動じず、何か思い出したみたいに目をまたたかせた。
「あなたが永鳥家のご子息、カイウンさんでしたか!」
「そうだけど」
「あなたのことは聞いていますよ。なんでも霊に憑かれ、近所から死神と呼ばれているんだとか」
「……知ってたのか」
「はい、もちろん」
「怖くねぇのかよ」
「怖い? なぜ?」
つぅちゃんも怖がらないよね。
あたしたちはお互い、ふつうじゃない。
「今さら怖いだなんて思いませんよ。慣れました」
「慣れ……?」
「わたしには霊感はありませんが、こういう家系だと幽霊なんてざらにいますから。わたしに悪影響でなければ、恐怖心は働きません」
一瞬、つぅちゃんがあたしのほうを見た。
なんて意味深な……。
はいはい、あたしには霊感があって、常日ごろから幽霊さんと過ごしてますよ。
慣れるどころか、生まれつきそれが日常で。
今もちゃーんと、魁運のソレも見えてますよ。悪影響はないですよ。
「あっ、いっそのこと、ここで儀式を執り行うついでに、お祓いしましょうか?」
「つぅちゃん、儀式って?」
「巫女神楽だよ。今度秋祭りを催すとき、ここで神様への祈祷の舞をしようと思って。今日来たのもそのためなの」
「へぇ~!」
「……でも、それは、本家の人間しか……」
引っかかりを覚える魁運に、すかさず赤羽くんが答えた。
「その本家の人間が、つむぎ様でございます」
「!?」