死んでもあなたに愛されたい
あれ? あたしたちの苗字がちがうこと、説明してなかったっけ?
複雑な事情を話すのがだるくて、すっとばしてたかも。
混乱させちゃってごめんね。
「あらためまして。本家から参りました、白鳥 つむぎです」
――白鳥家。
平安時代より神をまつる、巫女の家系。
各地の神社を統べ、神の代弁者と謳われている格式高い一族。
ここも、白鳥家から分かれて構えられた、遠い分家の神社だったらしい。
つぅちゃんと魁運に実はつながりがあった、ということは?
双子の姉のあたしともつながりがある、ということで。
結論、あたしと魁運はやはり、デスティニー!
「なんで……ひとみと苗字が、ちが……」
「あ~……それはね、ちょっとワケがあって」
「簡単に言いますと、両親が別居してるんです」
本当に簡単に言いやがったな。
うそは言ってない。
ニュアンスがちがうけど。
父さんが若かりしころのこと。
頭の座を継いだばかりの父さんが、白雪組の地位を確実なものにしようと、同盟を結ぶことにした。
その相手が、由緒正しき一族、白鳥家だ。
あっちは、白雪組のヤクザとしての力を。
こっちは、白鳥家のブランド価値を。
政略結婚という形で、確約し合った。