死んでもあなたに愛されたい
「ワケありなのはわかったが……だったら、ひとみはどうして」
「なに?」
「どうして、妹のところに逃げこまなかった? そっちのが確実だろ」
魁運がちょっと背中を丸めて、あたしと同じ目線になった。
ただでさえ近いのに!
顔の距離も近くなっちゃってもう大変!
目元にかかってるグレーの髪を、さらりと魁運の指にすくわれた。
たった今、視界すべてに魁運の顔が入りました。おめでとうございます!
たぶん透明な瞳に、涙袋をぷるぷるさせてる魁運が、ばっちり反映されてる。
なんであたしの目にはカメラ機能がついてないんだろう……! くっそう!
「今からでも妹んとこ行くか?」
「え!? や! やだ!」
「でもそのほうがひとみにはいいんじゃ……」
「あたしは魁運がいいの!」
髪を絡めたままの無骨な手を、ぎゅっとつなぎとめた。
あたしのこと、捨てちゃやだよ。
ここじゃなきゃ、あたし、幸せになれっこない。
……あのね、ぶっちゃけるとね?
白鳥家とは相性が合わないんだ。
双子の劣った姉は、お呼びじゃないの。
あたしたちが産まれてすぐ、白鳥家は妹を選び、白雪組に選択の余地を与えなかったと聞いた。
そのときからすでに、父さん以上に、つぅちゃんに固執してる。