死んでもあなたに愛されたい
「俺のほうこそ聞きてぇよ」
「はい! 何をでしょう! なんでも聞いてください!」
あたしに興味を示してくれてる!
うれしい! もっと興味を持って!
あたしはあなたに興味津々ですよ!
「よく俺についてこようと思ったな。先に声をかけた俺が言うことじゃねぇけど」
「え……? ついてきちゃだめでした?」
「いや、」
「あたしは、声をかけてくれたのがあなたでよかったなって、心の底から思ってますよ。この出会いに感謝! 僥倖! バンザイ!って」
「何だそれ」
あ、また笑ってくれるかな!?
と思って目を凝らしたら、彼の表情は正反対。
口をへの字に曲げて、目を逸らしていた。
彼は、救急箱から消毒液をひたしたコットンを、すりむいたあたしの鼻先に触れさせた。
「……あんた、変わってんな」
消毒がちょっとしみる。
だけどいいや。
それがあなたの照れ隠しだって、気づいちゃったから。
知らないでしょう?
あたしが今、心の中でバンザイしてること。
ドキドキが限界値を越えて、オーバーヒートしてること。
あたしまで照れちゃうけど、あたしは隠さないから気づいてね。