死んでもあなたに愛されたい




「じゃ、そろそろ行かないと。またね、ひぃちゃん」


「失礼いたします」


「カイウンさんも。近いうちに、また、お会いしましょうね」




つぅちゃん!?
魁運にだけ、長く、たっぷりためながら、色っぽくあいさつした!?



もしかして、恋のライバル……!?

双子って、好きなタイプも似ちゃうの!?



つぅちゃんと赤羽くんが本殿へ向かってすぐ、あわてて魁運にしがみついた。




「か、魁運! よそ見しちゃだめだよ!」


「は?」


「あたしのことだけ考えててね!」




いくらつうちゃんが、死神のことを怖がらず、あたしとそっくりな容姿でも、おしとやかで、THEお嬢様なオーラがあって、愛されることに慣れてるかわい子ちゃんで……って!


つぅちゃん、いいところありすぎ!

一番ライバルになってほしくなかった!



でもでも!

あたしより格上なヒロイン候補だろうと、魁運だけにはドキドキしてほしくない。



あたし、がんばるから。


魁運の頭の中も、心の中も、あたしでいっぱいにして?




「……ひとみも、な」




ちっちゃな声量で、ぽつり。

どこかすねたように、魁運の口がとんがってる。


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