死んでもあなたに愛されたい
魁運の耳、赤くなった。
あたしにドキドキして、痛みなど忘れてしまえ。
揺れる赤いピアスに、チュ、とナイショで口づけたあと。
神経を張りめぐらせた。
黒くぼやけた世界を、零度に近づける。
さあ、教えて。
大罪を犯した犯人は、いずこ?
ざあっと舞い散った木の葉が、冷風に乗って泳いでいく。
神社のななめ向かい側。
古いアパートの階段のおどり場へ。
……みーつけた。
階段にいる男と、目が合った。
射的を利用して飛ばしたんだ?
いたずら? 白雪組の差し金?
ちがったとしても大罪なのは変わらないよ。
「き、え、ろ」
口パクで威圧し、魁運に気づかれないように殺気を放つ。
犯人が泣きべそをかいているのがよく見える。
魁運の傷の痛みを、あの男にあげられたらいいのに。
「……チッ。組のヤツらがひとみを狙ってんのか?」
あたしが中指を立てているとき。
魁運はあたしの首元に顔をうずめ、覚悟を強めた。
どちらともなく、無意識のうちに、腕をきつく締めつけていく。
傷口が広がろうと、鮮血がブレザーにしみようと。
かまわずに守りたかった。