死んでもあなたに愛されたい
「今度体育祭があるから、より強度なものを作ろうと思っているんだよ。どれだけ走っても落ちず、どんなことがあっても護ってくれるような」
「体育祭ですか!?」
ちょっ、つぅちゃん!?
食いつくところ、そこ!?
「いつですか!?」
「あー……いつだったかな、魁運」
「秋祭りの半月後あたり」
「わあ、いいなあ……。公立学校の行事ごとって、マンガやドラマで見るようなキラキラした感じなんでしょうか……。……ひぃちゃんも出るの?」
もちろん、とうなずけば、大げさなほどうらやましがられた。
体育祭に憧れる気持ちはよーくわかるけど!
「わたし、家柄や校風もあり、高校生らしいことをあまりできていなくて……」
「つむぎ様……おいたわしい……!」
「体育祭……いいですね……」
チラ。チラ。チラ。チラ。
悲しげにうなだれ、同情をあおぎながら、5秒に1回こっちをうかがうのやめい!
魂胆が見え見えなんだよ!
「……よかったら、観に来るか?」
ほら! 魁運はやさしいから!
誘っちゃうんだよ! 引っかかっちゃうの!
「いいんですかあ?」
「よかったですね、つむぎ様」
あー! ふたりとも、ニヤリってした!!
計画どおりって顔に書いてあったよ!?
魁運、今の見て……なかったのね、そうかい。
「差し出がましいお願いではありますが、よければもうひとつ、わがままを聞いてもらえませんか?」
つぅちゃんはあごを引き、小首をかしげ、両手を合わせ。
最大級に甘えた言動で、魁運とおじ様を見つめた。
……か、かわいい。
ライバルの手ごわさを、身をもって痛感した。