私のために生きた君へ
「奏汰、おはよ!」
「うん。制服似合うじゃん、かわいい」
朝から心臓に悪い。
昔からこういうこと、さらっと言ってのけてしまう。
「…ありがと!」
そういう奏汰は中学の最後らへんでぐんと一気に背が伸びて、男らしくなった。
制服も着こなしちゃって、なんだか知らない人みたい。
第一ボタンまでしっかり締めて、ネクタイを一切緩めないのが奏汰らしい。
いつの間にか声も低くなったけど、私の名前を呼ぶ優しい声は変わらないままだった。
奏汰は隣の家に住むおばあちゃんの遠い親戚の子どもらしい。