たとえ二度と戻れなくても
それから、その場所でたわいもない雑談をした。
雑談というよりは、私が暁くんが本物か確かめるために一方的に質問責めをしただけなのだが。



暁くんの友人や家族のこと、それから趣味や休日に何をしているか。
全てが私の知っている情報と同じで、私は本物だと確信した。



だけど、それと同時に二つの違和感を感じ始めていた。



一つは、どうして暁くんは私に家には帰らないの? とか、どうして此処に来たの? って質問をしないこと。



私は暁くんが私に最初に言ったことを思い出していた。



思い返して見ると、それはまるで最初から私が此処に来ることを知っていたみたいな口調だった。
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