イケメン拾った!魔法を隠して慎ましく?スローライフ…できてない!!
ライアン、覚醒
「良い天気ですね、隊長」

あれから更に3ヶ月が過ぎた。レオナルドがカーテンを開けてくれたがどうも眩しすぎる。

「すまない、眩しいんだ…」

水に反射されたような光に目眩を起こしそうだ。

「そうですね、じゃレースカーテンを引いて窓だけ開けましょう」
「レオナルド…辛い顔してるな。私の世話はもういい」

自分を思い出せずはや3年と何ヵ月か…
周囲で世話を焼いてくれる人の疲れくらいわかる。
髪もすっかり色は褪せて銀髪になった。筋肉は衰えて骨と皮だ。27歳らしいがこれでは死期が迫った年寄りではないか……

「隊長!」

眼をゆっくり向けるとそこには涙目で騎士の敬礼を決めたレオナルドがいた。

「自分はっ…健やかなるときも病めるときも…ライアン隊長と過ごすことを誓いました!」
「ふふっ…それでは私と結婚を決めたようだな」

おかしい。久しぶりに笑った。

「だって隊長?…」

レオナルドはそのままの姿勢を崩さず涙を流した。

「俺は…ライと乳兄弟なんだ」
「わかる?同じ味の乳を分かち合ったんだぜ?そんなの一心同体じゃねぇか」

敬礼を手解きベッドの脇に膝まずくレオナルド…

「なんで一人であそこに行った?」

ぐちゃぐちゃな、レオナルドの顔…あそこ?

「戻ってこいよ!ライ!!」

悲痛な叫び。頭に響く…
突如、部屋に吹き込んだ風。恐ろしく気持ちがいい。
あれ?いつ以来だろう?風が気持ちいいのは。幼い頃以来…違うな。
もっとこう最近感じたんじゃないか?

ふとそう思ったときだった。 
窓辺に一羽の雀がとまった。大して珍しくもないばずだが…いやにこちらを見ている。

「なんだお前」

思わず口をついて出てしまった。驚いたのはそのあとからだった。

《お前こそなんだ!》

「えっ?」

レオナルドには聞こえていないようで思わず耳を疑い今度こそ頭がおかしくなったのかも知れない。

《お前バカも休みすぎだ、このぼけかす!》

雀に罵倒された…
ただ、次の言葉がライアンを目覚めさせたのだ。

《マキアージュ、死ぬぞ!お前それでも騎士か!》

マキアージュ?……マキアージュ…マキアージュ!

「そうだ!」

突然の言葉に泣いていたレオナルドがビックリして顔をあげた。

「ライ?」
「思い出した!自分のことも!帰る場所も!



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