イケメン拾った!魔法を隠して慎ましく?スローライフ…できてない!!
《こっちだ、ぼけかす!》
なぜか雀の罵倒を聞きながら北を目指す。
突然過去を思い出して城を飛び出そうとしたが身体が動かずひっくり返った。情けないことに。なぜ俺は鍛練をしなかった!
これではマキアージュを抱き上げられないではないか!
俺のそれでも外に出ていこうとする奇行に皆一斉に止めようとしたが、レオが一掃してくれた。
「私が一緒にいきます!」
レオのお陰で、情けない俺を早馬に乗せ雀に付いていってくれる。
でも何故雀が話すのか?
《ぼけかすが!お前、一回崖から落ちて死んだろうが!見つけたマキアージュが命の半分分けたんだよ!》
何故考えを読まれたかより、雀の爆弾の方が驚愕だった。
《いた!あの熊にあとは聞きな。ぼけかすが!ふん!!》
雀は最後まで暴言だった。
さて、目の前に山のような片目の巨大熊には見覚えがあった。こいつのお陰で不運が始まったのだ。
《ついてこい》
熊からも声が聞こえた。俺が驚かないからかレオは青ざめているが口を出さず熊に付いていく。
その最中、ふとマキアージュを思い出した。やっぱり出会った頃の不可解なことはやはり魔法で、俺に命を分け与えた…そんなことできるのはやはり魔力持ち…そうか、王が欲したのはマキアージュ。
途端に熊の怒りに触れた。
《貴様のせいで俺の子供が死にかけている!》
ーあなたの子供?ー
熊は殺した覚えはないが…
《18年前拾った人の子だ!鷹から奪い、妻に乳を与えさせ信頼できる人間に預けた我が子だ!》
熊は急にがぁっ!牙をむき出し振り向いた。
あぁ、マキアージュ。きみは本当に魔力持ちの魔女だったのか…
《…熊よ、まて》
立ち塞がったのは犬より何倍も大きな青銀の狼だった。
《命を分けられた人の男よ。本気であの方を魔女と愚弄し、汚い人間の元に召し出す気なら…その首掻き切ってやる》
本気で殺気立ち牙をむく獣は恐ろしい。
恐ろしいがこちらも引くことはできないのだ。
「狼殿よ!私は真実を知りたいだけだ。マキアージュが何者でも関係ない。誰にも渡さない。今では…」
ーそうだ、今では…ー
「愛しているのだ!記憶をなくしても恋焦がれて深いブルーだった髪色がとうとうこんなになるほどに!」
痛々しく頼りなかった白銀の髪は今では凛として風に揺れている。レオナルドももはや覚悟を決めていた。色狂いの愚王になど誰が渡すものか!
それを見た狼はスッと目を細め背を向けた。
《おまけが転落した夜に姫を運んだのは私だ》
「狼殿が俺を隊まで…」
レオナルドははっと思い出した。狼が鳴いた…
《短剣が知らせた。奈落に落ち息絶えていたお前に、姫は笑いながら涙を流した。ライアンは大丈夫といい、口から命を半分分け与えた》
最後に触れた短剣が…
マキアージュの最後の言葉が…
すべてが俺を助けた。
《獣の声が聞けるのは姫の命を半分貰ったのだから当たり前だ。ジジ殿も聞けていた。愛された者だからな》
走りながらふんと鼻息を漏らす狼。
「あぁ…彼女は魔女なんかじゃない、聖女だ」
《アホ人間!》
狼の全身が逆立った。尻尾は倍だ。これにはレオの身体もびくりと動く。顔面蒼白だ…
《あのお方、姫はな…人間が祭り上げた聖女なんてちんけな者ではない。全精霊と神の愛し子だ!》
なぜか雀の罵倒を聞きながら北を目指す。
突然過去を思い出して城を飛び出そうとしたが身体が動かずひっくり返った。情けないことに。なぜ俺は鍛練をしなかった!
これではマキアージュを抱き上げられないではないか!
俺のそれでも外に出ていこうとする奇行に皆一斉に止めようとしたが、レオが一掃してくれた。
「私が一緒にいきます!」
レオのお陰で、情けない俺を早馬に乗せ雀に付いていってくれる。
でも何故雀が話すのか?
《ぼけかすが!お前、一回崖から落ちて死んだろうが!見つけたマキアージュが命の半分分けたんだよ!》
何故考えを読まれたかより、雀の爆弾の方が驚愕だった。
《いた!あの熊にあとは聞きな。ぼけかすが!ふん!!》
雀は最後まで暴言だった。
さて、目の前に山のような片目の巨大熊には見覚えがあった。こいつのお陰で不運が始まったのだ。
《ついてこい》
熊からも声が聞こえた。俺が驚かないからかレオは青ざめているが口を出さず熊に付いていく。
その最中、ふとマキアージュを思い出した。やっぱり出会った頃の不可解なことはやはり魔法で、俺に命を分け与えた…そんなことできるのはやはり魔力持ち…そうか、王が欲したのはマキアージュ。
途端に熊の怒りに触れた。
《貴様のせいで俺の子供が死にかけている!》
ーあなたの子供?ー
熊は殺した覚えはないが…
《18年前拾った人の子だ!鷹から奪い、妻に乳を与えさせ信頼できる人間に預けた我が子だ!》
熊は急にがぁっ!牙をむき出し振り向いた。
あぁ、マキアージュ。きみは本当に魔力持ちの魔女だったのか…
《…熊よ、まて》
立ち塞がったのは犬より何倍も大きな青銀の狼だった。
《命を分けられた人の男よ。本気であの方を魔女と愚弄し、汚い人間の元に召し出す気なら…その首掻き切ってやる》
本気で殺気立ち牙をむく獣は恐ろしい。
恐ろしいがこちらも引くことはできないのだ。
「狼殿よ!私は真実を知りたいだけだ。マキアージュが何者でも関係ない。誰にも渡さない。今では…」
ーそうだ、今では…ー
「愛しているのだ!記憶をなくしても恋焦がれて深いブルーだった髪色がとうとうこんなになるほどに!」
痛々しく頼りなかった白銀の髪は今では凛として風に揺れている。レオナルドももはや覚悟を決めていた。色狂いの愚王になど誰が渡すものか!
それを見た狼はスッと目を細め背を向けた。
《おまけが転落した夜に姫を運んだのは私だ》
「狼殿が俺を隊まで…」
レオナルドははっと思い出した。狼が鳴いた…
《短剣が知らせた。奈落に落ち息絶えていたお前に、姫は笑いながら涙を流した。ライアンは大丈夫といい、口から命を半分分け与えた》
最後に触れた短剣が…
マキアージュの最後の言葉が…
すべてが俺を助けた。
《獣の声が聞けるのは姫の命を半分貰ったのだから当たり前だ。ジジ殿も聞けていた。愛された者だからな》
走りながらふんと鼻息を漏らす狼。
「あぁ…彼女は魔女なんかじゃない、聖女だ」
《アホ人間!》
狼の全身が逆立った。尻尾は倍だ。これにはレオの身体もびくりと動く。顔面蒼白だ…
《あのお方、姫はな…人間が祭り上げた聖女なんてちんけな者ではない。全精霊と神の愛し子だ!》