イケメン拾った!魔法を隠して慎ましく?スローライフ…できてない!!
ぐふふな楽しみ、追加!
「……あれぇ?」

いつから眠ってたんだっけ?全くわかんない。

「お腹、すいた」

いつもの空腹じゃない。やけに、やたらに、めちゃくちゃお腹すいた。

そうだ……ライアン。
あの時、雨降るって言ったのに無理矢理行こうとするからてっきり狩猟と偽ってでも都に帰るんだと思った。
隊長さんだからね、仕方ない仕方ない。
だから一応緊急時に狼にでも助けて貰えるような仕掛けをしたんだ。なにも起こらなきゃそれで良しだしね。
あーぁ、イケメン勿体なかったなぁ。せっかく拾ったのになぁ。


《姫。男が奈落に落ちたぞ。間に合わなかった》
「えっ?」
《都と反対の山だ。どうやら本当に狩りをしようとしていたらしい》

なんで?食べるものくらいなんとでもなるのに…

《ほっとくか?どうせ生きてないぞ》
「行くよ」


それは冷たくなって横たわっていた。
ぶつかってあちこち潰れ千切れていた。

「バカだな……全然イケメンじゃない」

血と雨で濡れたブルーの前髪を指で掬う。金の瞳は見えない。

「イケメンが台無し…バカだなぁ」

雨のせいかな。前が見えない。擦っても擦ってもライアンが歪む。

「あー…イケメンが世から減るのは勿体ないわ!!」

マキアージュはボロ雑巾みたいになったライアンに口づけた。
二人を囲むように金色に輝く。
光が収まる頃、そこには綺麗な姿のライアンが横たわっていた。

「うん!完璧なイケメンだな♪狼ー!」

するりとまとわりついてくる狼を撫でた。

「ライアンの配達よろしく。ちょっと疲れたから帰って寝るー」

欠伸が止まらないんだよね。
早く寝て、明日は朝から雑誌の絵姿でも見よう!


結局……寝こけていたのは三年と少しばかり。寝坊助にも程がある!!
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