イケメン拾った!魔法を隠して慎ましく?スローライフ…できてない!!
レオナルドの決意
ーなんて美しい人だ…ー

ライアンを手助けしながら入った部屋には、絹糸の絨毯かのように床一面広げた髪を持つ仙女のような女性がこちらを見つめていた。
王都の淑女達ではあり得ない健やかに伸びた白い手足があらわになり、たわわな丘は張りだし、そこから飛び降りたらきっと天国に行けるだろう谷間が……

ーいや、何を考えているんだ…ー

これが魔女の力か?
ずっと嫌悪感を捨てられずここまで来た。自分の大切な乳兄弟が三年以上苦しんだのだから。
対面してみてやはりそうかと思った。この美貌…男を虜にする魔女。

だがよくよく観察すると違っていた。
ライアンは目の前しか見えず盲目の恋に溺れているのに間違いないが、当の本人は。
自由すぎる程に皆の思考方向のあさってにひた走る只の己のために強く生きてる妖精でしかなかった。マキアージュだが。

本人が食べたかっただけだろうが食事まで振る舞ってくれた。素朴な料理だが最近ろくに食べていなかった為(ライアン共々)その味がとても身に染みて美味しくどんどん平らげてしまった。
それを見て心底嬉しそうに我々を観察し追加を提供し満足げだった。

我々に付け入るわけでもなく媚びるわけでもなく、誘惑するわけでもない。ライアンとイチャイチャしてるように一瞬見えたがいたって自由なだけだった。
生きたいように生きているだけ…


ー悪女ではない。どちらかといえば聖女ー

これがここへ来てから注意深く観察した結論だ。
ともすると、この仙女のような女性の今の生活を守ってやりたいと思うのが男の性…違う、騎士としての勤めだろう。
秘密を知らなければ作戦が立てられない。何重にも重ねて安全を確保するべきだ。
あんな愚王に渡してなるか。

そんなことを決意しているレオナルドである。恋は盲目のライアンとはちょっと違った、冷静な判断の持ち主のようだ。
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