甘すぎるキミと秘密のカンケイ!?
「……セーフ」


 そう言いながら、地面に落ちる直前の猫さんをすんでのところでキャッチした、暁斗の姿だったんだ。


「あ、暁斗!」

「遅くなってごめん、花梨」


 私は嬉しくなって暁斗に駆け寄って、抱き着く。

 いつもはあまり気持ちが顔に出ない暁斗だけど、はにかんだように笑ったのが見えた。


「ううん……! 猫さんを助けてくれてありがとう!」

「うん、よかった間に合って」


 暁斗は私の頭をぽんぽんと撫でるように優しく叩く。

 少し前まで感じていた絶望や寂しさが、一瞬で吹き飛んでしまった。

 暁斗の顔を見るだけで、マイナスの感情はすぐにどこかに消えていく。

 私はいつもそうだった。

 暁斗が傍にいてさえくれれば、私には何も怖いものなんてなかった。


「げっ! 暁斗だ!」


 健太は暁斗の顔を見るなり、苦虫を噛み潰したかのような顔をした。

 暁斗は健太と違って体は大きくない。

 だけど運動神経は抜群で、学年で一番足が速いのだ。

 唯一力で屈服させられない暁斗を、健太は苦手に思っているらしかった。
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