甘すぎるキミと秘密のカンケイ!?

 なんでそんなに、真剣な雰囲気で言うの?

 そんな風に不思議に思った私が、首を傾げると。
 

「え、ちょ……あ、暁斗……⁉」


 なんと暁斗は私の背中に手を回して、抱きしめてきたのだった。

 映画館に行く前に、瞬くんの前で肩を抱き寄せてきたのは、きっと恋人らしい振る舞いをするためだったと思う。

 だけど今はふたりきり。

 そして、ふたりきりの時に、暁斗がこんな風に私を抱きしめてきたことは、今までにない。

 ちょっと本当にどういうこと……⁉

 大好きな人の温もりに不意に包まれてしまった私は、わけがわからなくなってしまう。

 自分の体温が、グングン上がっていったような気がした。

 頭がぼーっとしてくる。


「……あのさ」

「な、何?」

「俺、本当は花梨のこと……」

「え……?」

「――いや。ごめん、なんでもない」


 暁斗はそう言って、私を抱きしめるのをやめてしまった。
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