甘すぎるキミと秘密のカンケイ!?

 私みたいなチビが強く言ったところで、何も響かないようだった。

 ……残念ながらそれはそうかもしれない。

 ふたりは男の人の中では高身長というわけではなかったけれど、それでも私の身長よりは十五センチは高そうだ。

 私が歯向かったところで、彼らにとっては蚊に刺されたようなものだろう。


「よーしじゃあ決定! 行くぞー!」

「カラオケでいいよね!」

「い、行かないってば! ちょっと、やめ……」


 ついにひとりが私の手首を掴んで、彼らが強引に歩き出した。

 必死に抵抗するけれど、非力な私はあっさりと彼らのひとりに引きずられてしまう。

 周りにはたくさんの人がいた。

 同じ学校の子達。

 教職員たちも。

 だけど、みんな暗がりの中イルミネーションに目を奪われているし、少し離れているところからはライブの音も聞こえてくるしで、私のピンチには誰ひとり気が付かないようだった。


「放してよ!」

 そう叫んでも、誰も私を気に留めない。

 目の前を歩くふたり組は、さぞ楽しそうに今後の予定を立てている。

 ――誰か。

 助けて。

 助けて!

 暁斗!
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