甘すぎるキミと秘密のカンケイ!?

 そして、待っていた暁斗の元へと運ぶ。

 ジュースとケーキを準備しているうちに、嬉しい気持ちはだいぶ落ち着いてきた。

 暁斗は何の気もなしにやっていることなんだから、いちいち本気にしないようにしなきゃ。


「はい、オレンジジュースとショートケーキね」

「ありがと。あ、花梨って暇な時間ある?」

「え……。十一時から自由時間になるよ」


 猫耳店員は時間制で交代する。

 私は九時から十一時までの担当だった。

 時計を見たら、現在は十時四十分なのであと二十分で担当の仕事は終わる。


「そうなんだ。じゃ、そしたらお化け屋敷に来てよ」

「え! あ、でも私……。暁斗は知ってるでしょ? お化けとか幽霊とかすごく苦手だって」


 小さい頃、暁斗と一緒に遊んでいる時にテレビでやっていた怪談特集を見たことがある。

 その後しばらくの間、私はひとりでお風呂にもトイレにも行けなくなってしまった。

 ――あの時、怖がって布団を頭からかぶって泣いている私に、暁斗は「大丈夫だって、ここにお化けはいないよ」って言って慰めてくれたんだっけ。

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