甘すぎるキミと秘密のカンケイ!?

 また、小学生の頃に家族ぐるみで遊園地のお化け屋敷に行った時も、足がすくんでしまってなかなか入れなかった。

 暁斗が手を繋いでくれるって言うからなんとか入れたんだよね。

 暁斗はこういった私の心霊苦手体質を知っているはずだけど……。


「それなら俺と一緒に入ればいいじゃん」


 ケーキを食べながら、暁斗はさも当然のように言った。


「えっ⁉」

「昔みたいに手繋いで入ってやるから。それならいいじゃん?」

「う、うん!」


 思わず満面の笑みを浮かべて頷いてしまった。

 だって嬉しすぎる。

 暁斗が手を繋いで一緒に入ってくれるなんて。

 小さくなってしまっていた幸福感が、一瞬で大きく膨らんだ。

 暁斗はいとも簡単に私を幸せな気分にしてくれる。

 本人にはそんな気はないくせに。

 本当に、ずるいよ。

 ずるすぎるよ。


「じゃ、そういうことで。それじゃあとでな、花梨」


 ケーキとジュースを完食した暁斗は、そう言って教室から出て行った。

 時計を見たら、あと十分で十一時だった。
< 30 / 252 >

この作品をシェア

pagetop