甘すぎるキミと秘密のカンケイ!?
残り時間、私はそわそわしながら喫茶店の仕事をし、十一時になった瞬間猫耳を急いで外して暁斗のクラスの一年三組へと向かったのだった。
*
一年三組の前には「手作りお化け屋敷」と、おどろおどろしい字体で書かれた凝った看板が置かれていた。
白いシーツのような布を被った、古典的なお化けの装いをした子が、「怖いよー! 楽しいよー!」と、客引きをしている。
暁斗はそんな一年三組の教室の扉の前に、ひとり佇んでいた。
扉に背を付けて、気怠そうに立つ姿は暁斗の掴みどころのない魅力を一層引き立てている。
通りすがった他校から遊びに来ている女子グループが、「ねえ、今の人めっちゃかっこよくない?」と言っているのが聞こえてきた。
ただ立っているだけでモテているなんて……。
あんまりみんな暁斗に目を付けないでください。
「猫のしっぽ、まだスカートについてるんだ」
暁斗は私の姿を認めると、開口一番そう言った。
「うん。縫い付けちゃったから簡単には取れなくて。午後、また働く時間があるから付けたままの方が楽だし」