甘すぎるキミと秘密のカンケイ!?
「うん。なら俺も楽しかった」


 暁斗が笑みを濃くして言う。

 どういうことなのだろう。

 言葉の内容をそのまま捕らえると、私が楽しかったから暁斗も楽しかったっていう意味になるんだけど……?

 なんで……?

 意味不明だけど、暁斗がよくわからないのはよくあることだ。

 何にせよ、暁斗が楽しかったのならよかったと思う。


「おーい暁斗。交代の時間だよー!」


 そんなことを思っていたら、お化けに扮して客引きをしていた男子が、暁斗のことを呼んだ。


「げ、もうそんな時間か」

「そうなんだ。暁斗が仕事になるなら、私も教室に戻ろうかな」

「……邪魔しやがって」


 いつも淡々としている暁斗が、珍しくとても不機嫌そうにそう呟いた。

 一瞬聞き間違いかと思えるくらいに。

 ――だけど。


「じゃ、花梨。俺行くわ」

「うん、またね」


 私にそう言った暁斗は、いつも通りの無表情だった。

 だからさっきの暁斗の様子は気のせいだと思い込み、自分のクラスへと私は戻ったのだった。


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