甘すぎるキミと秘密のカンケイ!?

 いつも瑠璃か暁斗、またはその両方が一緒だから、久しぶりのひとり遊びは少し寂しい。

 おもちゃのお茶碗に砂を入れてごはんのように見立てて、ぬいぐるみの前に置いたけれど、暁斗の声が聞こえてこないのは物足りない。

 とは言うものの、普段から暁斗はあまり喋らない。

 そういえば、いつも自分ばかり喋っている気がするなあ。

 だけど、優しい暁斗と一緒にいるのは私には居心地がよかった。

 暁斗を見ると、たまに心臓がドキドキと変な風に動くときがあった。

 あれ、なんなんだろうな。

 少し苦しいけれど、嬉しいようなそんな気分。

 他の友達に対してはそんな風になったことはなかった。

 暁斗が一緒の時にだけ発生する、不思議な病気だった。


「暁斗、早く来ないかなあ……」


 考えられるおままごとを一通りやったところで、私は思わず呟いた。

 ――すると、その時だった。


「えっ!」


 急に猫さんのぬいぐるみが宙に浮いた。

 驚いて見てみたら、同じクラスでいじめっ子の健太が、ニヤニヤしながら無造作にぬいぐるみの手を掴んでいた。

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