甘すぎるキミと秘密のカンケイ!?
「おまえひとりで遊んでんのー? ははっ、寂しーやつ!」


 健太が馬鹿にしたような口調で言った。

 縦にも横にもビッグサイズの健太は、私よりふたまわりくらいは大きい。

 気に入らないことがあるとすぐに人を叩くし、悪口も言うからよく先生に怒られている。


「か、返してよーっ」


 健太のことは怖いけれど、猫さんのぬいぐるみは大切な物だ。

 だってこれは、この前の私の誕生会で、暁斗がプレゼントしてくれた物だから。


「しょうがねえから、俺が一緒に鬼ごっごで遊んでやるよ! お前が鬼なー! 俺を捕まえたら返してやる!」

「えっ!」

「ほら、逃げるぞー!」


 ぬいぐるみの腕を掴んでぶらぶらさせながら、健太が走り去った。

 腕を起点に猫さんの全身が振り回されていて、何かの拍子に腕がちぎれてしまいそうに見えた。


「やめてよー!」

「お前足遅えなー! ほら、こっちだぞー!」


 意地悪く笑って私を見ながらも、健太が走る。

 必死に追いかける私だったけれど、運動能力に差がありすぎて追いつくどころか差が開くばかりだ。
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