レモネード【番外編】
怖い、甘い

日葵side

人気の無い路地裏。

ここが大学から家への近道。

不審者情報も多くて、急いでいる時以外はその道は使わない。

だけど、今、とても急いでいる。

21時58分。

大学に忘れ物していたことに気づいた。

大学の閉館時間は平日22時。

普段の道を歩いていくと10分。

近道から行くと5分。

走ったら2分ぐらいで着く。

行ける。

そう言って走って近道を走っていると、手をつかまれた。

?「ね、覚えてる。」

振り返ると見覚えのない男の人が立っていた。

髪を派手な色に染めていて、ピアスやネックレスをジャラジャラ付けている。

日「あ、すみません、今急いでるんですけど…」
男「ちょっとだけだから。」
日「あ、何をするんですか。」

そう答えた瞬間、頭をつかまれ、キスをされた。

それも長いキス。

頭が真っ白になる。

怖い、怖い。

声も出せない体が動かない。

その時、後ろから誰かにハグされた。



だれ、こわい、もう、やめて。

?「なーんだ、男いたのかー。」

そういうとすぐにその男は去っていった。

?「何してんの。」
日「だ、だれ…」
?「俺以外の男とキスしたらダメだろ?」

後ろからハグされたまま耳元で囁かれる。

抱く力が強くなってくる。

この声は、颯くんの声だ。

腕がとかれて、颯くんが私の前に立つ。

颯くんの親指で私の唇を拭う。

そして、キスをされる。

長ーい長いキス。

甘い、甘い。

日「んっはぁっ。もう長すぎるよ!」
颯「それは日葵が俺以外の男とキスしたのが悪かったんだろ。」
日「でっ、でも!」
颯「怪我してない?」
日「うん大丈夫。はあ、怖かった…ってあれ?!ヤバいもう大学しまったかも!颯くん今何時?」
颯「今22時2分だわ。」
日「あーもう最悪!」
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