策士な課長と秘めてる彼女 ~出産編・育児編~
「はあ・・・はあ・・・ん~・・・」

痛みはどんどん増してきて、もはや消え去る様子ははなかった。

「日葵、息を吐け。もうすぐ高森先生が来る。・・・おい!葛城、頭が少しずつ降りてきている。このあとどうすればいいんだ?」

電話口で冷静に指示を仰ぐ陽生。

その傍らで、勇気は不安そうに毬ちゃんを抱き締めて日葵を見つめていた

「ごめんね・・・勇気くん、心配かけて・・・」

「ううん。そんなことないよ。日葵さん、頑張って」

そう言って駆け寄り、日葵の手を握る勇気の小さな手の温もりに感謝しつつも、日葵は小さく微笑むだけで苦痛に顔を歪めた。

「もうダメ・・・」

「日葵・・・もう少しだ」

スルスルと回りなから下方へと移動してくる児頭を押さえつつも、陽生は苦しげに日葵の頭を自分の胸に抱き寄せた。
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