策士な課長と秘めてる彼女 ~出産編・育児編~
陽生の両手をとり、正面から見上げてくる日葵が可愛すぎる。

6年生になり、大人びた顔つきをした勇気と凛凛しい警察犬の柊も、何だか今日は頼りがいがあるように見えた。

・・・まあ、鼻をヒクヒクさせているだけのイングリッシュロップの毬ちゃんは論外だが・・・。

陽生は、大きくなった日葵のお腹を気遣いながらも、日葵をギュッと抱き締めると大きなため息をついた。

「なんで株主総会もここで出来ないんだろうな。会議場でも作るか・・・」

幸いにも、蒼井家もとい真島家には土地はたくさんある・・・

「って、もう、年一回のために無駄なものは作っちゃダメですよ。陽生さん」

日葵命の陽生が本気で言っていることは疑いの余地もないことを、日葵は重々承知していた。

だからこそ、内心慌てつつも、悟られないように日葵は奥の手を使うことにしたのだ。

「はじめての株主総会を成功させる、かっこいい陽生さんの武勇伝が聞きたいなあ・・・」

日葵を抱き締めていた陽生の体がピクリと反応する。

゛あと一息゛

「大阪土産のたこ焼きもお土産に食べたいかも。ほら、あの駅前の・・・」

日葵が言い終わる前に、

「行ってくる!すぐに帰ってくるからおとなしく待ってるんだぞ、日葵。勇気と柊も頼んだ。なにかあったら段取り通りに」

と、行きたくないと駄々をこねていた陽生は俄然やる気をみせて顔をあげた。

普段、滅多に陽生にお願い事をしない日葵が陽生にお願い事をしたのである。

陽生が頼まれごとにはりきらないはずはない。

それを果たすためには弟達の協力が不可欠だ。

頭を下げることに抵抗はない。

「任せて、兄さん」

「バゥ!」

「・・フンフン・・(毬ちゃん)」

頼もしいナイト?達に頷きながら、陽生は日葵にキスをして、意気揚々と出掛けていった。


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