策士な課長と秘めてる彼女 ~出産編・育児編~
「案外、あっけなく受け入れたわねえ。陽生さんならもっとごねるかと思ったのに」

「だから1週間がヤマだといっただろう?私にも経験があるからわかるんだ。育児の当事者は辛い」

男の子、しかも年の離れた二人の息子の子育てを経験してきた真佐子と孝明。

二人にはベビーシッターという名の助っ人が数名いたが、日葵命の陽生が他人を受け入れるとは思えない。

実の両親ですら煙たがる男だ。

可愛がってきた弟の勇気の思いすら受け止めることを躊躇するほどの嫁馬鹿。

確かに、日葵は恋人としても、妻としても、もちろん嫁としても申し分がない。

策士な面々がひしめく真島家には珍しい、清純で疑うことを知らない眩しい存在だった。

そして、真佐子も孝明も勇気も・・・毬ちゃんですらも日葵の汚れない魅力にメロメロなのだ。

そこに真島の血を分けた美暖という存在が加わった。

近くで愛(め)でない手はない。

しかし、(親に似て)独占欲が強く、策士な陽生の一面は信用できるとはいえ、いささか厄介。

陽生の独占欲のために、日葵が体を壊して行く未来が手に取るように見える。

二世帯同居が無理なら、同敷地もしくはスープが冷めない距離で支援するしかなかろう。

幸い、勇気も陽生と日葵の側で暮らすことを希望している。

転校の手続き、塾の手配、新居の整備等々。

゛懸念事項は迅速に対応゛

がモットーの真島夫妻の動きは早かった。
< 49 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop