策士な課長と秘めてる彼女 ～出産編・育児編～

「朝から大変だね。美暖ちゃん」

「おはよう、祐希奈ちゃん。大丈夫、もう慣れたから」

美暖は下駄箱でスニーカーから上履きに履き替えながら、幼稚園から一緒の八神祐希奈に挨拶をした。

「あれからイケメン叔父さんは来ないんだね？」

「勇気くんのこと？玲音くんだけでこの騒ぎなのに、勇気くんなんかに毎日顔を出されたら大変なことになるよ」

祐希奈の言う゛イケメン叔父さん゛とは、美暖の隣の家に住む勇気のことだ。

現在、18歳の彼は、美暖の血の繋がった゛叔父さん゛ではあるが、まだまだ現役高校３年生（一年外国に留学していたため一年留年している）。

美暖が入学して間もない頃、勇気が高校の春休み明けのテストのため午前中に授業を終えたある日、美暖を下校時に迎えに来たことがあった。

高校のブレザーを着た美少年が、校門で小学生を待っている。

「ご兄弟のお迎えですかぁ？」

「優しいお兄さんなんですね」

美暖が祐希奈と校門まで出てきたときには、勇気は数人のお母さんや近所のおばさん連中に囲まれており、ぎょっとしたものだ。