策士な課長と秘めてる彼女 ~出産編・育児編~
暖かな日差しのなか、日葵は、勇気と柊と連れだって近隣の臨海公園に向かった。

「あら、日葵ちゃん。今日は素敵な騎士と一緒なのね?」

「そうでしょう?お義弟なんです」

すれ違う顔馴染みの夫婦連れや、ランナーと会話を
楽しむ。

4月とはいえ、今日は少し汗ばむ陽気だ。

お腹の中の赤ちゃんも心なしか動きが少ない気がする。

とはいえ、

妊娠の経過は順調で、医師からは9ヶ月に入ったら適度な散歩を行って良いと言われている。

初産の日葵に何が異常で、何が正常かがわかるはずはなかった。

「ちょっと休憩しようか?」

「日葵さん、僕、柊くんと遊んできてもいい?」

「ええ、よろしくね、これで遊んであげて」

日葵は持参していた大きめのトートバッグからフリスビーを取り出すと勇気に渡した。

「柊くん、go」

駆け出す勇気と柊を見ながら、日葵は微笑んで四阿(あずまや)のベンチに腰かけた。

通り抜ける風が心地よい。

ペットボトルを取り出し、お茶を口にすると、汗ばんだ体が少し落ち着きを取り戻した気がした。
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