策士な課長と秘めてる彼女 ~出産編・育児編~
「小さい頃の、親達の勝手な戯れ言に巻き込まれて許嫁を持たされた。それに、今回のことは単なるきっかけに過ぎない。今後も同じようなことが繰り返される可能性がある。どうだ、玲音、ここらで厄介なしがらみから解放されてみないか?」

これまで反論する機会すら持たせてもらえなかった美暖と玲音にとってはまたとない申し出であろう。

陽生パパが言っていることは正しい。

同じことを、美暖もずっと考えていた。

みんなに愛されるキャラクター、無類のイケメン玲音。

彼ほどの逸材なら

美暖との婚約などに煩わされずに、今後はアイドルやモデルを目指す道もあると思うのだ。

花菱蘭の夫で玲音の父親は、H県のローカルテレビ局でアナウンサーをやっている、これまた人気者のイケメンだ。

親のコネで芸能界入りも夢ではない。

というよりも・・・

正直、美暖は今後一切、玲音絡みのこうしたいざこざに巻き込まれたくはないのだ。

目立たなくていい、やりたいことを自由にやれる環境が一番の望みだ。

別に玲音が嫌いなわけではない。

だが、イケメン玲音と幼馴染み、というだけで攻撃されたり目の敵にされるいわれはない。

小学校時代でこれなのだから、今後、中学、高校に進学したらどうなるのだろう。

・・・考えたくもなかった。
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