策士な課長と秘めてる彼女 ~出産編・育児編~
「ダメよ」
「だめです」
陽生の申し出を即答で断る声が重なった。
「はーい。それなら俺が美暖ちゃんのフィアンセに立候補しちゃいまーす」
戯れ言を言うオヤジのキモい発言が、緊張した場面を一時的に引き裂いたが、その場にいた全員がそれを無視することで修復された。
「玲音、人前ですらお姫様を守ってやれないような奴に美暖はやれん。みすみす不幸にするようなものだろ」
蘭は否定しきれずに、グッと唇を噛んで陽生を睨んだ後、隣にいる玲音を見つめた。
「僕は・・・」
「僕は?」
「これからも美暖ちゃんの騎士でいたいです」
ふぅん・・・と言いながら、陽生が両腕を組んで玲音を見下げる様子はどこかの殿様のようだ。
「騎士になれていないから今日のような結果になったんだろ?」
そんな陽生を見返す玲音は、しばらく反論もせずにじっとその場に立っていた。
しかし、数十秒後、覚悟を決めたように後ろに歩いていくと
「これ・・・」
と言って、自分のお稽古袋の中からあるものを取り出した。
「え、それ・・・」
そう、それは、
美暖が隠されていたと思っていたあの外履きシューズであった。
「だめです」
陽生の申し出を即答で断る声が重なった。
「はーい。それなら俺が美暖ちゃんのフィアンセに立候補しちゃいまーす」
戯れ言を言うオヤジのキモい発言が、緊張した場面を一時的に引き裂いたが、その場にいた全員がそれを無視することで修復された。
「玲音、人前ですらお姫様を守ってやれないような奴に美暖はやれん。みすみす不幸にするようなものだろ」
蘭は否定しきれずに、グッと唇を噛んで陽生を睨んだ後、隣にいる玲音を見つめた。
「僕は・・・」
「僕は?」
「これからも美暖ちゃんの騎士でいたいです」
ふぅん・・・と言いながら、陽生が両腕を組んで玲音を見下げる様子はどこかの殿様のようだ。
「騎士になれていないから今日のような結果になったんだろ?」
そんな陽生を見返す玲音は、しばらく反論もせずにじっとその場に立っていた。
しかし、数十秒後、覚悟を決めたように後ろに歩いていくと
「これ・・・」
と言って、自分のお稽古袋の中からあるものを取り出した。
「え、それ・・・」
そう、それは、
美暖が隠されていたと思っていたあの外履きシューズであった。