策士な課長と秘めてる彼女 ~出産編・育児編~
「えっ、まさか、ここに何か危険なものがあるのかね・・・」

「シイ・・・」

人差し指を立てて唇にあてた玲音に、校長先生は口をつぐんだ。

着いたのは1年生の靴箱。

まだ、ターゲットは到着していないようだ。

清掃後に、1年生の靴箱を通る児童はほとんどいない。

玲音は、美暖のくつ箱から見えない位置に、校長先生と連れ立って身を潜めた。

数分後、予定通りにターゲット達はやって来た。

己の愚かさを顧みない愚民どもで良かった、とこの時の玲音は思っていた。

なにせ、校長先生を理由も告げずに呼び出したのである。

相手に計画変更されては、こちらも計画倒れになるところだった。

1年生の靴箱に全く関係のない上級生女子達の登場。

常に恵比寿顔の校長先生の顔もさすがに曇っていた。

愚民どもは、そのまま愚民でいてくれた。

「あった、これよ。これ。真島美暖のシューズ」

「ナイキの運動靴とか生意気」

「これ高くてママが私には買ってくれなかったやつだ。あんな子が履いてるなんてムカつく」

ぎゃはは、と笑う品のない女子どもの声に、玲音だけでなく校長先生の顔も歪む。

「そろそろ、真島が来る頃じゃない?あの子いつもの一番乗りで帰るらしいじゃん」

「おばあさまのお迎えがあるらしいわよ?」

「はぁ?どこのお姫様だよ、全く」

「あ、来た。隠れよう」

運良く、玲音と校長が身を潜めている側とは反対の場所にやつらは隠れた。

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