策士な課長と秘めてる彼女 ~出産編・育児編~
『あれ?ない』

駆け足でやって来た美暖が靴を探している様子がわかった。

しばらく立ち尽くしていた美暖だったが、

『いい気味』

『調子にのるからよ』

という、上級生女子達の声が聞こえたのか、早々に諦めて上履きで帰ることにしたようだ。

女子達は、泣く気配も見せない美暖に業を煮やしたのか、

『やだ、あの子、靴も買って貰えないのかしら。上履きで帰るなんてみっともない』

と、大声で馬鹿にした。

自らいじめの当事者としての存在を暴露するあたり愚の骨頂である。

呆れた玲音と校長だったが、上級生がこれ以上美暖に手を出さない限りは最後まで成り行きを見守ることに決めた。

絶対に否定できない確実な証拠を手にするために・・・。
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