策士な課長と秘めてる彼女 ～出産編・育児編～
30分程過ぎた頃だろうか・・・。

日葵は、なんとなく、下腹部に違和感を感じていた。

ズキズキと痛むような、恥骨が押されるような・・・。

゛まさかね・・・気のせいだよね？゛

にわかに出産への不安が募る。

だが、まだ10分間隔にもなっていないし、少し痛む程度で現在は和らいでいる。

「勇気くん！柊くん！」

日葵は携帯でタクシーを依頼したあと、遊んでいる勇気と柊に呼び掛けた。

「どうしたの？日葵さん。気分が悪い？」

慌てて走ってきた勇気を心配させまいと、日葵は明るく笑って言った。

「ごめんね。宅配便が届くらしいの。急いで帰らないといけないからタクシー呼んじゃった。勇気くんは柊くんとゆっくり帰ってきてくれるかな？」

「わかった。もう少し遊んでから帰るね」

「よろしくね」

宅配便が来るというのは勇気を心配させないための嘘だった。

日葵がタクシーで帰るのは念のため。

柊は警察犬だし、勇気と二人の近距離散歩も慣れているから大丈夫だと判断した。

しばらくしてやって来たタクシーに乗り、日葵は一足早く自宅に戻った。
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