策士な課長と秘めてる彼女 ~出産編・育児編~
「ふぅ・・゛」

日葵は真島家に着くと、とりあえず安堵の息をついた。

ソファに座り、大きなお腹を擦る。

痛みはまだバラバラにやって来ていて不規則だ。

おそらく晴天の中、いつもよりも歩き過ぎて疲れたのだろう。

やすんでいれば良くなるだろうと、日葵は深呼吸をしながら目を閉じた。

「日葵さん、日葵さん・・・」

ペロペロと何かが頬を舐める感触が日葵を襲った。

「・・・勇気、くん?柊?・・・おかえりなさい」

「ただいま。大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ。今何時かな?」

どうやら勇気と柊が帰宅するまで、日葵は眠っていたらしい。

「もう15時だよ。日葵さん、よく眠ってたから僕たち起こさずにここで遊んでたんだ。日葵さんが大丈夫なのを確認したから、僕たち今からシャワー浴びてくるね。日葵さんはゆっくりやすんでて」

゛なんて気が利く、しっかりものの義弟だろう゛

優しい勇気の言葉に日葵の頬が緩む。

「ありがとう。お腹すいたよね?その間に何か食べるものの準備をするね」

日葵は、重い体を引きずるようにして、ソファから立ち上がった。

「大丈夫。パンを食べたよ。心配しないで」

かけていく勇気を見送り、日葵はキッチンへ向かった。
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