ほんの少しで届く距離
「じゃあ、19時に会場に集合ってことでいいよな! またあとでな!」

「うん、またあとで」


黒炎君、始まる前から楽しそうだなぁ。


今日は普段とは違う私を見せてやる! と、私も黒炎君とは別の意味で燃えていた。


* * *


時刻は、夜18時55分。


「わわわ、遅刻しちゃう!」


浴衣に着替えた私は急いで、夏祭り会場へと向かった。だけど、浴衣っていつもと違って動きにくいし歩きにくいしにでもう大変。


「あれって、黒炎君だよね?」


会場の入り口付近で、やたらイケメンオーラを放っている男の子がいた。
しかも、よく見ると黒炎君は複数の女性に囲まれている。


「ねぇ、君一人?」


「良かったら私たちと一緒に夏祭り楽しまない?」


少し遠くから見ている私は、ほんの少しだけ不安な気持ちになった。
このまま黒炎君が、他の女の子たちと夏祭りに行ったらどうしようとか。


どう考えても大人の女性だ。大学生くらいかな? 私なんか子供っぽい・・・よね。
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