ほんの少しで届く距離
学校の成績は確かに上から数えたほうが早いくらい優秀だけど、学校の勉強とこういうことはまた別。


黒炎君の意外な一面を知れて、私はまた黒炎君のことを好きになった。


「朱里。なんで口開けたまま、ボーっとしてんだ?」

「な、なんでもない!」


ハッと我に返った私。


「そんなことより、行こうぜ。夏祭り」

「うん!」


私は嬉しそうに返事をして、黒炎君の後ろをついていく。


「あ、そうだ。言い忘れてたことがあった」


「・・・?」


黒炎君は振り返って、私と視線を合わせた。


「朱里。その浴衣、似合ってる。凄く綺麗だ」


その笑顔は、とってもカッコよくて、見てるこっちがドキドキしてしまう。


普段は絶対に言わないような言葉を恥ずかしげもなく言えてしまう黒炎君はやっぱり男の子なんだなぁ。
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