虹の彼方へ~アナウンサー桐島 海斗~
その週はあっという間に過ぎていった。

そして金曜日、仕事が終わって帰っていた俺は、蓮からの電話を受けるのだ。


「もしもし。蓮どうした?」と声を掛けるも返事がない。

何度呼びかけても返事が…

どこにいるか聞いたら小さい声で、「家」とだけ聞こえた。


蓮の消えそうな弱々しい声。

嫌な予感しかしない。

冷や汗が出てきた。

取りあえず財布とスマホだけ手にし、歩いて行ける距離だがタクシーに乗った。

マンションに着き、コンシェルジュに声を掛けると、蓮の部屋に連絡をしてくれた。

許可が取れたので、来客用のカードを渡される。普段一緒に入るのでカードを預かるのは初めてだ。

エレベーターの中でカードを入れる時、手が震えた。

エレベーターに乗っている時間さえ長く感じる。













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