海の向こうで
「あの子もいい子だよね。なかなか僕的には好みだよ。けど今回の主役は君だからね」
「じゃなくて!なんであんな格好なの!寒いでしょ!」
「あー、ブレザー?邪魔だったからそこら辺に置いてきた」
脱がせる方が邪魔じゃん。
そう思ったが、言わないでおいた。
「あいつらから聞いたかもしれないけど、あの子がいる限り君は動けないよね?別に逃げてもいいよ。けどそうしたらこの子がどうなっちゃうかなぁ」
「…」
ほんと、セコイな。
鮎斗くんの言った通り、そして私が思った通り暴走族ってのはこういうやつもいるんだな。
「おい」
いきなりその男の声が低くなった。
私かと思ってビクッとしたけど、その男は私をみていなかった。
それにちょっと安心する。
男が見ている方を見ると、朱里のYシャツのボタンをそろりそろりと外しかけている男がいた。
なんてこと…!!
「やめろ」
それだけで、「ヒイッ」と情けない声を上げてその男は去っていった。
私は慌てて朱里に駆け寄って、朱里のYシャツのボタンを閉めておく。
もう、朱里ったら今日に限って大胆なブラをしてるんだから。