海の向こうで
「そこまでだな、来夢の総長」
という声で、私ははっとした。
海…!
助けに来てくれたんだ…!
「ちっ、もう来たか。桜龍の総長さんよお」
よかった。とりあえず私の方から目は逸れた。
私は立ち上がって、急いで海の元へ向かおうとする。
でも力が入らなくて、へなっと倒れこみそうになる。
それを支えたのは…あの男だった。
「おっと、お姫様に逃げてもらうのはまだ早いぞ。それに、“あの子”もまだいるよ?」
私はそう言われて、ぐっと唇をかむ。
そしてその首に…カッターナイフを突きつけられる。
海の目が大きく見開かれた。
「お前…いつ見ても卑怯だな」
「ああ。女は使えるだけ使わないとな」