海の向こうで
「…っ、女をバカにしないで!」
私はそいつの腕に思いっきり噛み付いた。
今までで一番、力を出したかも。
「うわっ⁉︎」
相当痛かったのか、慌てて離れるその男。
なんとか私は海の後ろに逃げることができた。
「…っ全く、女のくせにナメた真似しやがって…」
とイライラしながらその男は私たちを睨んだ。
「大西、俺とタイマンしよーぜ」
「…わかった」
た、タイマン???
な、なにそれ。
「海華!」
いきなり後ろから誰かにぎゅっと抱きしめられた。
ふわっと石鹸の香りがする。
「飛鳥…?」
私は目を見開く。