海の向こうで
「ぷっ」
私は堪えきれずに、吹き出してしまった。
「結局飛鳥みたいにズボンでも、寒いもんは寒いんだよ」
「タイツの方が寒いだろ」
「まあそうだけど〜…」
「ほら、もうちょっとくっつけよ」
と飛鳥が片手で私の腕をぐっと引き寄せる。
え、ちょっとこれは恥ずい。密着しとるじゃん。
「ちょっと!運転中でしょ!」
私は飛鳥の背中をかるく殴る。
「俺自転車とかでも片手運転できるから大丈夫」
「そういう問題じゃなくて!怖いからそれ!」
「はいはい、気をつけるよ」
子供をあやすように言われ不満げな私だったが、この後飛鳥は私が乗っている間は片手運転を二度としないでくれた。