海の向こうで
「ちょ、ちょっと!私他のとこ行くよ!」
「別にいーだろ。それに、今出ると見つかっちゃうからさ」
「おにいちゃん、うみちゃん、どこー??」
日向ちゃんの声がだんだんと近づいてくる。
あー…確かに。
「うみちゃんー、早く出てきてよー」
え!
近い近い!
日向ちゃんとの距離も、飛鳥との距離も!
心臓もたないんだけど…!
「ふっ」
「ひゃっ」
しかもこの人耳に息かけてきたし!
「うみちゃん?」
やばいバレた!
クローゼットのドアが開き、日向ちゃんがひょっこり顔を覗かせる。
「あれ?いない…」