海の向こうで




日向ちゃんがドアを閉めて、また出て行く。



実はその直前、飛鳥が私を奥の方へと引っ張ったのだ。



てかこの体勢結構キツイんだけど…。



だってクローゼットは狭いから、奥の方へ入るってなったらそりゃ密着するに決まってる。



これ、完全に後ろハグされてる状態じゃん…!



恥ずかしい。ここが暗くて本当に良かった。



本人は何も思ってないようだけどね。



やっぱ女の人に慣れてるからなのかな。



そう考えると、ちょっとモヤモヤする。



もしかしたらこの家に、前に女の子を連れてきたことがあるかもしれない。



その時も、同じようなことをしたの…?



ねえ、飛鳥。



聞こうとしたけど、代わりに肩に重いものがズシンと降ってきた。



まさか飛鳥…寝てる?



私がこんなにドキドキしてるのに?



あ、ありえない。




< 141 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop