海の向こうで
日向ちゃんがドアを閉めて、また出て行く。
実はその直前、飛鳥が私を奥の方へと引っ張ったのだ。
てかこの体勢結構キツイんだけど…。
だってクローゼットは狭いから、奥の方へ入るってなったらそりゃ密着するに決まってる。
これ、完全に後ろハグされてる状態じゃん…!
恥ずかしい。ここが暗くて本当に良かった。
本人は何も思ってないようだけどね。
やっぱ女の人に慣れてるからなのかな。
そう考えると、ちょっとモヤモヤする。
もしかしたらこの家に、前に女の子を連れてきたことがあるかもしれない。
その時も、同じようなことをしたの…?
ねえ、飛鳥。
聞こうとしたけど、代わりに肩に重いものがズシンと降ってきた。
まさか飛鳥…寝てる?
私がこんなにドキドキしてるのに?
あ、ありえない。